ギガス写本(Codex Gigas)
13世紀に作られたと考えられている世界最大の写本は、中には悪魔の大きなイラストがあり、コーデックスギアスや悪魔聖書と呼ばれています。1メートルの長さの原稿は約75キログラムの重さを持ち、ある夜、悪魔との協定を結んだ修道士によって作られたと考えられています。
13世紀初め、ボヘミア(現在のチェコ)のベネディクト会の修道院で作られたと見られている。ヴルガータ版聖書を含み、他にも様々な歴史的文書が含まれていて、全てラテン語で書かれている。三十年戦争中の1648年、スウェーデンが戦利品として持ち帰り、今はストックホルムのスウェーデン国立図書館が収蔵しているが、通常は公開されていない。
この写本のほぼ半分はラテン語のヴルガータ版の聖書だが、使徒行伝とヨハネの黙示録だけは古ラテン語聖書版に基づいている。創世記からルツ記、イザヤ書からダニエル書、ホセア書からマラキ書、ヨブ記、サムエル記、列王記、詩篇から雅歌、ソロモンの知恵書、イエス・キリストの叡智、エズラ記、トビト記、ユディト記、エステル記、マカバイ記という順序で並んでいる。旧約聖書と新約聖書の間には、フラウィウス・ヨセフスの『ユダヤ古代誌』と『ユダヤ戦記』、イシドールスの『語源』、ヒポクラテス、テオフィロス、フィラレトス、コンスタンティヌスらの医学書がある。
空白頁に続いて新約聖書としては、マタイ伝から使徒行伝、ヤコブの手紙からヨハネの黙示録、ローマの信徒への手紙からヘブライ人への手紙という順序で並んでいる。悪魔の絵に続いて、プラハのコスマスの『ボヘミア年代記』、ポドラジツェの修道僧一覧、命日入りのカレンダー、魔法の作法、地元の記録などがある。最初の頁にヘブライ語とギリシア語とスラブ語のアルファベットが記されている以外、全体がラテン語で書かれている。
ギガス写本(Codex Gigas)の伝説
中世期に既に語られていたある伝説によると、この写本を書いたのは修道僧としての誓いを破り監禁された修道僧だという。
この厳しい刑罰を耐えるため、彼は修道院を永遠に称え全ての人類の知識を集めるべく、一晩で本を写本することを誓った。
しかし真夜中ごろになって誓いを守れそうにないことが明らかとなり、彼は神ではなく堕天使ルシファーに語りかけ、自身の魂と引き換えに本を完成させてほしいと願った。悪魔は写本を完成させ、その修道僧は感謝の意を表すために悪魔の絵を追加した。
写本作業を再現してみたところ、完成までに20年以上かかると見積もられた。