ディストピアとは

平等で秩序正しく、貧困や紛争もない理想的な社会に見えるが、実態は徹底的な管理・統制が敷かれ、自由も外見のみであったり、人としての尊厳や人間性がどこかで否定されている。

その描写は作品毎に異なるが、典型的なパターンとして以下のような問題点がやがて描き出されていく。

●粛清がある。体制(指導者)が自らの政治体制をプロパガンダで「理想社会」に見せかけ国民を洗脳し、体制に反抗する者には治安組織(準軍事組織)が制裁を加え社会から排除する。

●表現の自由が損なわれており、社会に有害と見なされた出版物は発禁・焚書・没収されることがある。

●格差社会が存在する。社会の担い手と認められた市民階級の下に、人間扱いされない貧困階級・賤民が存在し、事実上は貧富の差が激しい社会となっている。

●市民社会では貧困の根絶が達成されたことになっているが、実際には社会の統制の枠から爪弾きにされた者たちが極貧層となる。それらの者たちによりスラムが形成されるも、中央政府によって市民の目の届かぬ地域に隔離されている。

●社会の枠の中で暮らす市民階級について、体制が市民階級を血統やDNAのレベルで把握・管理している。

●産児制限が行なわれる。強制的に人口を調整ないし維持する必要があり、市民の家族計画、さらには恋愛・性行為や妊娠・出産など人類の繁殖にまつわる部分さえ社会によって管理されている。

●愚民政策により、これら負の側面については、市民階級からは当然のものとして捉えられ、または完全に隠蔽された社会となっている。


一九八四年新訳版 (ハヤカワepi文庫) [ ジョージ・オーエル ]


一九八四年 (ハヤカワepi文庫)